今後の事業展開や必要な設備を確認
ベンチャー企業や起業したての会社にとって自社のオフィスを構えることは、一つの目標であり社員にとってのモチベーションにも繋がります。
しかし、オフィス賃貸はお金が掛かりますし、月の賃貸費用が経営を圧迫することは避けなければいけません。
会社の規模や今後の展望に合わせてオフィスを選ぶことが重要になります。
オフィスの種類とメリット・デメリット
自社のオフィスを持つことはメリットも大きいですが、デメリットもあります。
また、企業オフィスには大きく分けて「賃貸オフィス」「レンタルオフィス」「シェアオフィス」の3種類があります。
今回はそれぞれのオフィスのメリット・デメリットを紹介します。
①賃貸オフィス
賃貸契約を結んで、オフィスビルの区画を自社オフィスとして利用する形態です。
アパートやマンションなどの一般的な賃貸契約と基本的な内容は同じですが、
敷金や保証金など金額面では大きく違います。
■メリット
- 自社オフィスがあることで他社からの信頼感を得られる
- 内装や仕事環境を自由にレイアウトできる
- 来客の際のクライアントの印象が良い
■デメリット
- 月額賃料が高く、一般的に入居時12か月分の敷金(保証金)が必要になる
- 解約予告期間などの縛りがあり、すぐに移転できない
- オフィス家具や備品、内装工事など初期費用がかかる
②レンタルオフィス
レンタルオフィスはサービス業者が予め用意したオフィススペースを月額でレンタルできるオフィスです。
オフィスに必要はデスク・椅子などの備品やネット環境は予め整備されており、
コアワーキングスペースとは違い、しっかりと個室になっているのでスモールスタートしたい企業に人気です。
■メリット
- 低コストで自社オフィスをレンタルすることができる
- オフィス家具などの備品が全て用意されているので移転が簡単
- 契約期間の延長や解約などを月単位で柔軟に対応してもらえる
■デメリット
- 都心部など人気のエリアでは賃貸オフィスと同じくらいの月額費用がかかる
- 区画は区切られてますが、フロア内に多くの企業が存在するの機密情報は扱えない
- オフィス家具の持ち込みや内装工事ができない
③シェアオフィス
フリーアドレスを自社のアドレスとして利用できるほか、専用ブースを別途借りることができます。
人数に応じて専用ブースの増減ができるので、無駄な賃料を払う必要がありません。
■メリット
- 自社の住所としてフリーアドレスを使用できる
- 人数に合わせた賃料を設定できる
- 同じグループ会社のオフィスであればすぐに移動できる
■デメリット
- 人気エリアでは人数増加ができない場合もある
- 他社の打ち合わせや会話が気になる
マンションの一室を事務所とする企業も
特に来客などがない場合はマンションの一室を事務所とする企業もあります。
今は大手ゲーム会社となった「ミクシー」なども初めはマンションの一室から始まったように
ベンチャー企業では自宅兼事務所とする会社も多いです。
確定申告の際に事務所部分の家賃を経費として落とすことが可能です。
ベンチャー企業は審査が厳しい
最近ではベンチャーキャピタルやクラウドファンディングなど、銀行以外でも資金調達が可能な手法が増えてきましたが、
日本ではベンチャー企業に対する審査はどの業界でも厳しいです。
オフィス賃貸の審査でもそれは同じで、一般企業と比較してベンチャー企業の場合は審査に落ちる確率が高くなっています。
今回はオフィス移転の審査で重視されるポイントを説明します。
■審査のポイント
1.経営者の経歴
ベンチャー企業の場合、社員数も少なく会社としての実績も少ないので、借主である経営者の経歴が重要になります。
学歴・起業前の勤め先や資格など自身に関わるものから、これまで関わってきた取引企業などを細かく記載しましょう。
2.事業内容①安定した収益が得られるか
ビルオーナーが最も重要視するのは、毎月の賃料を滞納することなく支払える安定した収益があるのかです。クラウドファンディングや資本金としてある程度まとまったキャッシュを持っていたとしても、事業失敗など予期せぬ事態により負債を抱えることは良くあります。この際、安定した収益があれば滞納や踏み倒しをすることなく会社を立て直すことができます。
審査の際には今持っている資金よりも月々の収益をより重視する傾向があります。
3.事業内容②金融関係や建設系は通りにくい
大手銀行系やゼネコンは別として、ベンチャー企業や新規立ち上げの金融・建設系の会社は審査に通りずらい傾向があります。金融・建設業はヤクザなどの反社会的勢力が関わっているケースが多く、最近では「暴力団排除条例」により暴力団にオフィスを貸し出すこと自体が罪に問われる場合もあるので、ビルオーナーとしては金融・建設企業への賃貸を行う際は細心の注意を払います。
4.事業内容③士業は通りやすい
住宅ローンの審査と同じように士業は審査が通りやすい傾向にあります。初めて独立する弁護士が事務所設立をする場合でも、比較的審査は通りやすいです。これは仮に実績がなくても国家資格を持った借主であればバイトなどいくらでも稼ぎ口があることと、家賃の延滞や滞納が及ぼす法的なデメリットを理解しているので、ビルオーナが損害を被るケースが少ないからです。
初期費用を抑えたい場合はレンタルオフィス・シェアオフィス
今回はベンチャー企業のオフィス賃貸について説明しましたが、
実績がない1年目のベンチャー企業では審査を通すのは難しいのが現状です。
特に都心部では需要に対して賃貸オフィス・事務所の数自体が少なく、
完全に売り手市場になっているため、オフィスオーナーは貸し出す相手を選定することができます。
ただ、最近ではベンチャー企業でも気軽に借りることができる
レンタルオフィス・シャアオフィスも急激に増えているので、
会社の規模や実績に合わせて段階を踏んで賃貸オフィスへの移転を目指す方が賢明かもしれません。