オフィスの内見に行く前にポイントの整理
移転先オフィスの候補となる物件が見つかったら、内見(内覧)に行ってみましょう。写真や図面を見るのと現地に行って見るのとは違いますから、内見は大事です。
内見では、見るべき場所を整理しておくことが重要になってきます。内見で見落としていたところがあると、契約後に「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。
自宅を探すときに物件の内見をしたことがあっても、オフィスの内見は初めてという人も多いと思います。オフィス物件の内見と自分で住む家の内見とでは、チェックポイントは同じではありません。オフィスにはオフィスのチェックポイントがあります。内見に行く前に、どこを見たらよいのかというチェックポイントをピックアップしておきましょう。
1.外観
オフィス物件を選ぶときには、外観も重視した方が良いでしょう。外観は、オフィスのイメージを左右するものです。オフィスの外観がきれいであれば、会社の第一印象も良くなります。特に、多くのお客様が訪れるなら、外観にこだわるべきでしょう。
外観については、新しいビルの方が当然きれいです。しかし、古いビルでも外観のリニューアルを行っている場合があります。古くても伝統的な建築物などは、逆に趣が感じられるでしょう。清潔感を感じる外観であれば問題はありません。
扱っている商品やサービスによって、理想的なイメージも変わってきます。単に新しいとかきれいとかだけではなく、外観が企業イメージに合っているかどうかも考えてみましょう。
2.共有スペース(エントランス・エレベーター)
エントランスは会社を訪れるお客様が最初に目にするところです。広々としたエントランスが理想ですが、狭くてもスッキリ片付いていればイメージは良くなります。エントランスがきちんと管理されているかどうかは重要です。エントランスが雑然としていれば、お客様に落ち着かない印象を与えてしまいます。管理会社の管理が行き届いているエントランスが良いでしょう。
エントランスだけでなく、エレベーター部分もお客様が通るところです。エレベーター周りにゴミが落ちていたり、汚れていたりしないかをチェックしておきましょう。
エントランスが開いている時間についても調べておかなければなりません。早朝や深夜に出入りがある場合には特に注意しておきましょう。
3.トイレ
オフィスビルでは、トイレはオフィス内部にある場合と共用になっている場合があります。トイレがオフィス内にある場合には事前にわかっていると思いますが、共用の場合には、内見の際にどこにあるかを聞いて実際に見て確認しておきましょう。
トイレは各階に必ずあるとは限りません。トイレに行くために階を移動しなければならないとなると、時間のムダが発生してしまいます。また、古いビルでは、個室が1つしかないことや、男女共用というところもあります。
トイレは1日に何度も使うところですから、どのような環境かは重要です。トイレが使いやすく、清潔であるかをしっかり確認しておきましょう。女子社員が多い場合には、化粧スペースの有無もチェックしておくことも必要です。
4.電波状況
オフィスの内見の際には、電波状況も確認しておかなければなりません。今はオフィス内で様々な通信機器を使用するのが当たり前ですから、電波状況は重要です。
電波についてはそれぞれのビルで対策がとられているはずですし、契約時にも不動産業者から説明があります。しかし、あらかじめ確認しておかなければ、後でトラブルになることがあります。内見時には、必ず実際の電波状況を確認しておきましょう。
電波状況というのは、そのものが目に見えるものではありません。そのため、つい確認を忘れてしまうことがあります。内見の際には、できれば複数の人で異なるキャリアの携帯電話やスマートフォンを持ち込んで、電波状況が良好かどうかを確認しておくと良いでしょう。
5.同じビル・フロアのテナント
内見時にチェックを忘れてしまいがちなポイントとして、同じビルにどのようなテナントが入っているかという点があります。特に、同じフロアに入っているテナントはトイレや給湯室などで顔を合わせる機会が多くなりますから、しっかりチェックしておきましょう。
同じビルや同じフロアのテナントは、日常的に顔を合わせるご近所さんということです。何をやっているのかわからないような怪しい会社が入っていれば、落ち着かないでしょう。サービス業の会社などは、外部から訪れるお客様が多い場合があります。どんな会社なのか、日中人の出入りが多いかどうかも聞いておくと良いでしょう。
テナントは入れ替わることもあります。今後の出入りの予定なども確認しておくと安心です。
6.日当たり・眺望
オフィスは毎日長時間を過ごすところですから、日当たりも気になります。日当たりを確認するために、内見は日中にすべきでしょう。
日当たりが良好かどうかで、かかる冷暖房費も変わってきます。夏場は涼しくて冬場は暖かいのが理想です。西日が当たるオフィスは、夏場の日当たりが良すぎて、かなり暑くなってしまいます。ブラインドが最初から付いているかどうかも見ておきましょう。
窓からの眺めもチェックしておきたいところです。眺めは良いにこしたことはないと思うかもしれません。しかし、日が当たり過ぎれば日中ブラインドを閉めっぱなしにしなければならないことがあります。せっかくの眺望がムダになってしまわないかも確認しておきましょう。
7.床の仕様
オフィスの内見時には、床仕様もチェックしておきましょう。床仕様には、Pタイル、2WAY、3WAY、OAフロア(フリーアクセス)といった種類があります。
Pタイルとは硬いコンクリートの床で、病院や学校によくあるタイプの床です。2WAY、3WAYはコンクリートの床に配線用ダクトが埋め込んであるタイプのもので、2WAYは取り出し口が電話と電源の2本のもの、3WAYは取り出し口が電話、電源、LANケーブルの3本のものです。
OAフロアとは、床が二重になっていて、その間に配線を通すことができる床です。床がスッキリしていて、配線に足を引っ掛ける危険もないので最も安心できる仕様です。
床がOAフロアになっていない場合には、工事によって変更してもらえることがありますから、確認してみましょう。
8.天井の高さ
内見の際に敢えてチェックすることが少ないかもしれませんが、天井の高さも見ておいた方が良いポイントです。オフィスの天井が高い方が、広々とした感じになるので、落ち着いて仕事がしやすくなります。特に、広さがあまりないオフィスの場合、天井は高い方がおすすめです。オフィスの快適さにこだわりたいなら、天井の高い物件を選ぶと良いでしょう。
天井の高さは、2.5メートルは欲しいところです。天井が低いと圧迫感を感じてしまいます。新築のビルでは3メートル程度の天井高があるところもあります。
なお、床をOAフロアにする工事をする場合には、50ミリほど床が上がってしまいますから、その分天井が低くなります。あらかじめ天井高がある物件かどうかを確認しておきましょう。
9.レイアウト
オフィスの内見の際には、レイアウトも考えておかなければなりません。希望するレイアウトが実現しない物件であれば、移転計画が大きく狂ってしまいます。
まず、オフィスの内見時までに、レイアウトを考えておくことが大切です。広さがあれば全く自由にレイアウトできるというわけではありません。古いビルでは、オフィス内に柱がある物件もあります。柱の位置によって、レイアウトを変更せざるを得ないこともあります。もちろん、柱があっても気にならないようなレイアウトが可能な場合もあります。
柱の有無や柱の位置を目で見て確認し、工事によって希望するレイアウトにできる物件なのかどうかをしっかりチェックしておかなければなりません。
10.喫煙スペース
喫煙スペースについても、内見時に忘れずにチェックしておきましょう。今は、オフィス内は禁煙とするところがほとんだと思います。ビル内に喫煙スペースがあれば、喫煙者にとっては安心でしょう。
ビル内に喫煙スペースがない場合には、どこで喫煙できるのかを確認しておきましょう。非常階段などは、本来は喫煙できないスペースである場合が多くなっています。ビル周辺で喫煙すると、近所の住民からクレームが出ることもあります。
社員に喫煙者が多い場合には、ビル内のすぐ行けるところに専用の喫煙スペースがあるのがいちばん良いはずです。喫煙スペースが遠いと、移動のためにムダな時間も発生してしまいます。内見に行く前に、あらかじめ喫煙者の意見も聞いておき、喫煙スペースの基準も考えておきましょう。
オフィスの周辺環境も調査
移転先のオフィスを選ぶ際には、オフィス周辺の環境も大事になってきます。仕事のある日は、家よりもオフィスで過ごす時間の方が長いはずです。近くがどうなっているのかによって、快適さは変わってきます。周辺環境によって、オフィスを訪れるお客様が会社にどんなイメージを抱くかも変わってきます。物件の広さや見取り図を見ているだけでは、周辺環境はわかりません。内見に行った際に、周辺環境をしっかりチェックしておきましょう。
・最寄駅から実際に歩いて行く
オフィスの内見に行くときには、車で現地まで行くのではなく、電車を利用しましょう。最寄駅からオフィスまで、自分の足で歩いてみるのがおすすめです。たとえば、徒歩10分と書いてあっても、実際に歩くともっと遠く感じるかもしれません。駅からの距離は、自分の足で確かめるようにしましょう。
雨の日には、できるだけ雨に濡れない方が快適です。地下街や商店街など屋根のあるところを通れるかどうかも確認しておいた方が良いでしょう。
最寄駅から徒歩で通勤する社員が多いなら、道幅や車の往来など、歩きやすさも気になるところです。オフィスに到着するまでに、どんなお店や施設があるのかもよく見ておかなければなりません。目印になるような建物があれば覚えておきましょう。
・コンビニや飲食店を確認
移転先オフィスを選ぶときには、周辺にランチを食べに行けるお店があるかどうかも重要なポイントです。オフィス周辺で昼食が調達できなければ、社員は家から弁当などを持ってこなければならなくなってしまいます。飲食店があっても、数が少なければ、ランチタイムにはすぐに満席になってしまうことがあります。オフィス近くに安くておいしいお店がたくさんあれば毎日の楽しみにもなるでしょう。
オフィス近くにコンビニがあるかどうかもチェックが必要です。コンビニがあれば、飲食店に行かなくても、お弁当類を調達できます。ランチタイムの利用に限らず、コンビニは今の時代には必須とも言えます。できれば、近くに何軒かコンビニがあるのが理想です。
・銀行、郵便局など金融機関の確認
オフィス近くには、銀行や郵便局といった金融機関があるかもチェックしておかなければなりません。現在では送金などはネットバンキングで処理できることが多くなりましたが、それでも銀行や郵便局に出向かなければならない機会はあります。郵便局は、書留や荷物の発送でも頻繁に利用することになりますから、近くにあった方が安心です。
会社で主に利用している取引先金融機関の支店が遠ければ、移動のための時間がかかり、業務効率が悪くなってしまいます。移転候補オフィスから最も近い支店やATMがどこにあるかを確認しておきましょう。
銀行や郵便局は、社員が個人的に利用することも多くなります。昼休みの間に行ける距離にあるかどうかもチェックしておきましょう。