オフィス移転プロジェクトを開始したら、新しいオフィスを探さなければなりません。移転先のオフィスを探すにあたって、新オフィスに求める条件をまとめておく必要があります。不動産業者に物件を探してもらうにも、条件を指定しなければなりません。項目ごとにどのような物件なら良いかをまとめておきましょう。
新オフィスに探す前に条件を整理
元号も令和に変わりオフィス移転プロジェクトを開始する企業も多いですが、まずは新しいオフィスを探さなければなりません。移転先のオフィスを探すにあたって、新オフィスに求める条件をまとめておく必要があります。不動産業者に物件を探してもらうにも、条件を指定しなければなりません。項目ごとにどのような物件なら良いかをまとめておきましょう。
また、移転プロジェクトの前に入居時に管理会社やオーナーと交わした賃貸契約書を再度確認しておくと良いでしょう。
新オフィスをどこに置くかという立地条件や、新オフィスの広さはどのくらい必要かという面積の条件は、最初に決めておくべきです。ビルの築年数や設備などについても希望を考えておきましょう。賃料や保証金などの予算も考えておかなければなりません。すべての条件をみたす物件はなかなか見つかりませんから、どの条件を優先させるかについても考えておきましょう。
①立地
オフィスの立地条件は、特に重要です。社員、顧客、取引先などの都合を考えると、あまり遠くにオフィスを移転するわけにもいかないでしょう。新オフィスをどの範囲で探すかを明確にしておく必要があります。
オフィスを移転すれば、社員の交通費や取引先へ出向く際の交通費が上がってしまうこともあります。たとえ賃料が下がっても、経費が増えてしまうと、オフィス移転の効果が薄くなってしまいます。
最寄り駅からの距離についても考えなければなりません。顧客が会社を訪問する機会が多い場合、アクセスの利便性は売上にも影響してきます。駅から徒歩何分以内ならOKかを決めておきましょう。車による訪問が多い場合には、近隣に駐車場があるかにも注意しておく必要があります。
②面積
オフィスの面積も重要な条件です。働く人の人数によって、最低限必要な広さがあります。他の条件をみたしていても、オフィスが狭すぎると作業効率が悪くなってしまいます。
オフィスの面積は、坪数で表示するのが一般的です。どのくらいの坪数が必要かを考えておきましょう。広すぎても賃料が高くなってしまいますから、面積については下限と上限を決めておくべきです。
なお、オフィスの面積には、通常、壁や柱部分も含まれています。オフィス内に柱があれば、実際に使える面積が思ったより狭くなってしまいます。柱の位置によって、レイアウトがうまくいかないこともあるでしょう。面積が条件をみたしているかどうかだけでなく、オフィス内の形状もチェックすることが大切です。
③ビルの外観・築年数
ビルの外観は会社のイメージを大きく左右します。できるだけきれいなビルを選んだ方が良いことはいうまでもありません。ビルの外観が良ければ、顧客の印象が良くなるだけでなく、働く人のモチベーションもアップします。
新しいビルは数が少なく、賃料も高くなってしまいます。たとえ古くても、リニューアルを行っていれば問題ありません。ビルの外観がきれいかどうかも、忘れずに見るようにしましょう。
築年数については、浅いほどよいというわけではありません。一般に、ビルは20年程度でリニューアルするケースが多くなっています。築15年よりも築25年の方が、外観がきれいということはあります。築年数だけでなく、いつリニューアルを行ったかにも着目しましょう。
④オフィス内設備(エレベーター、トイレなど)
ビルの設備としては、エレベーターがスムーズに来るかどうかも重要です。朝の通勤時や昼の休憩時にすぐにエレベーターが来なければ、社員はイライラしてしまうでしょう。エレベーターの都合で休憩が十分とれなければ、社員から苦情が出てトラブルになることも考えられます。エレベーターが不便であれば、顧客の足も遠のいてしまいます。
トイレも重要なチェックポイントです。女性社員が多い場合には、トイレの数が十分であることのほかに、化粧スペースの確保も必要になります。バリアフリーかどうかもチェックしておいた方がよいでしょう。古いビルでは和式トイレしかない場合もあります。車いすでも問題ないかどうかも考えておくべきでしょう。
⑤予算
オフィス移転の際には、賃料などの予算も決めておかなければなりません。毎月発生するコストとしては、賃料のほかに、共益費や駐車場料金などもあります。トータルで月々どれくらいかかるのかをチェックしておきましょう。
オフィス移転の際には、業者に支払う仲介手数料や保証金(敷金)も発生します。仲介手数料としては賃料の1か月分、保証金としては6~12か月分程度が必要になります。これらの費用もしっかり見積もっておきましょう。
オフィスを借りるときには、入居後一定期間賃料が無料になるフリーレント契約を利用できるケースもあります。フリーレント契約をする場合には、契約期間中の実質的な賃料が予算内におさまるかどうかを検討しましょう。
⑥移転時期
新オフィスを探すときには、移転時期も忘れずにチェックしておかなければなりません。現在のオフィスの賃貸借契約が満了するまでに新オフィスに入居できなければ、困ったことになるからです。一方で、すぐに入居可能な物件が見つかり、早い時期から賃料が発生してしまうと、賃料の二重払いが発生してしまいます。オフィス移転に都合の良い時期に入居できる物件を探しましょう。
希望する時期までに新オフィスへの入居が間に合わない場合、仮移転をする方法もあります。しかし、仮移転をすると余計なコストが発生してしまいます。移転時期についても、いつからいつまでという条件を明確にしておき、できるだけ条件をみたす物件を探すべきでしょう。エリアの絞りすぎは注意エリアの絞りすぎは注意
エリアの絞りすぎは注意
新オフィスを探すときには、どのエリアで物件探しをするかを決めておきましょう。移転する場所をピンポイントで決めるのはあまりおすすめではありません。エリアを絞り過ぎてしまうと、他の条件に合う物件が見つかりにくくなってしまいます。エリアをほんの少し広げるだけで、希望条件にピッタリの物件が見つかる可能性が高くなることもあります。場所については、大まかな範囲を決めておき、柔軟に対処できるようにしておきましょう。
東京都の97%のビルはすでに埋まっている
移転先としてピッタリのビルがあっても、空室がなければ現実に移転はできません。移転先の候補として場所を絞るときには、ある程度の空室が見込めるエリアにしておくのが無難です。
移転先オフィスを東京で探したいというケースは多いでしょう。東京都内にオフィスを構えることにはさまざまなメリットがあります。取引先を開拓する上でも、顧客のアクセスの便を考えても、東京都内のオフィスは魅力的です。
賃貸オフィスの紹介サイトを見ると数多くの物件情報が掲載されていますが、実際東京のビルの空室は3%程度となっており、希望のオフィスにタイミング良く入居するのは難しいのが現状です。東京の郊外でも、都内へ出るのに便利な場所はあります。東京で移転先オフィスを探したい場合には、かなりエリアを広げて考えるとよいでしょう。
1つの駅に絞らず路線や区で選ぶ
新オフィスとして希望に合った物件を見つけるには、移転先の場所を指定する際にも工夫が必要です。たとえば、希望するエリアとして、駅名を指定することは多いでしょう。駅名を指定するときには、1つの駅だけでなく、複数の駅を指定するのがおすすめです。「〇〇線沿線」と路線を指定する形にすると、さらに物件を見つけやすいでしょう。
また、鉄道の路線を指定するのではなく、「〇〇市」「〇〇区」などの住所を指定した方が、物件は探しやすくなります。東京都内であれば、移転先を住所から指定しても、最寄り駅までそれほど遠いということはないはずです。考えるだけでは思いつかなかった駅近くでも、希望に合った物件が見つかることがあります。
同じ金額で好条件のオフィスが見つかる可能性も
移転先オフィスを探すときには、探す範囲が広いほど物件の数も多くなります。最初から移転先の希望エリアを狭く考えるべきではありません。移転先の希望エリアを広げると、予算内で条件の良い物件を見つけやすくなります。
駅からの距離が少し遠くなるだけで、賃料の相場が大きく下がることもあります。コスト面でのメリットが大きくなれば、アクセス面でのデメリットがそれほど気にならないこともあるでしょう。駅からオフィスまでの間に、商店街や公園があれば、距離がそれほど気にならないこともあります。
当初想定していなかったエリアでも、現実に移転を考えてみると、思わぬメリットに気付くことがあります。まずは、広い範囲で物件探しをしてみるのがおすすめです。