オフィスの現状調査

オフィス移転を考えたときに、最初にしなければならないのが現状調査です。現状調査とは、現オフィスの現状を把握し、問題点を整理することになります。現オフィスの現状調査では、オフィスの面積や通信環境、OA機器の環境、照明や空調の状況などを確認しましょう。そして、それぞれの事項について、仕事がしにくいと感じている点がないかを洗い出します。

現状調査で問題点をピックアップ

オフィスや事務所の移転を考えたときに、最初にしなければならないのが現状調査です。現状調査とは、今のオフィスの現状を把握し、問題点を整理することになります。

現オフィスの現状調査では、オフィスの面積や通信環境、OA機器の環境、照明や空調の状況などを確認しましょう。そして、それぞれの事項について、仕事がしにくいと感じている点がないかを洗い出します。 問題点は、できるだけ具体的にピックアップした方がよいでしょう。たとえば、オフィスの広さが狭いと感じている場合には、狭いためにどのような不都合があるのかを明確にする必要があります。 事務所のセキュリティー管理も改善点の一つです。問題点をたくさん挙げるとオフィス移転が難しくなるということはありません。思いついた点はどんどんピックアップしてみましょう

①現オフィスの使用面積

オフィス移転を考えるときに、現オフィスの面積が適当かどうかを見直してみることは大切です。オフィスの広さとしては、一人当たり3坪(10平方メートル)くらいが目安と言われることがあります。オフィスの面積を社員数で割ってみると、現オフィスの広さが適切かどうかわかるはずです。会議室や受付など間取りすべてを含めた面積で計算することが重要です。せっかく広さがあっても、収納でむやみに場所をとっていたり、あまり使われていない会議室が設けられていたりすることが分かります。この場合には、執務スペースとして十分かどうかの検討も必要です。

現オフィスが狭い場合や、現在は良くても今後社員数の増加を見込んでいる場合には、より広いオフィスを借りるべきでしょう。逆に、現オフィスが無駄に広い場合には、コンパクトなオフィスでも良いということもあります。広さが決まらないと移転先も探せませんから、まずは現オフィスの使用面積を確認しましょう。

②電話・OA機器類

電話をはじめとした通信環境やOA機器の環境は、仕事の効率面に大きな影響を及ぼします。通信環境やOA環境は近年どんどん便利になってきましたから、後から機器を付け足したり、配線を増やしたりしているケースが多いはずです。

電話やOA機器類の配線が複雑になっていれば、何がどこにつながっているのかもわかりにくいでしょう。配線がごちゃごちゃしていると、見た目も良くありません。掃除もしにくく、つまずいて転んでしまう危険性もあります。この場合、事前に問題を把握していれば、レイアウト段階で配線を床下に通せるOAフロアの導入を提案することも可能になります。

事務所移転の際には、現オフィスの電話・OA機器類の配線を見直し、改善策を考える必要があります。専門の業者にアドバイスを受けながら、現オフィスの問題点を整理し、新オフィスではストレスのない環境を作り出すことを目指しましょう。

③現社員数と今後の増減

オフィス移転の前には、現社員数を確認し、今後の人員計画を立てる必要があります。社員数によって、借りるべきオフィスが変わってくることは、言うまでもありません。十分な広さがなければ、業務に支障が出てしまいます。オフィスの賃貸借契約は、2年契約が一般的です。人員に合わせて頻繁にオフィス移転をすると、コストがかかり過ぎてしまいます。将来の見通しを立てるのは難しいこともありますが、5年先くらいまでは考えておいた方がよいでしょう。
また、大企業など社員数の多き企業では小規模な人員の増減に対応できるようにオフィス家具の配置やパーテーションの利用など、レイアウトを工夫することも重要です。

将来的に人員を減らす見込みの場合には、再移転を視野に入れておくことも必要です。最初から狭いオフィスを借りてしまうと、当面の間の作業効率が悪くなってしまいます。数年先にオフィスを再移転するつもりでシミュレーションしてみると良いでしょう。

④照明・空調

オフィスは長時間を過ごすところですから、照明や空調は重要です。オフィス移転をするときには、現オフィスの照明や空調に問題がないかどうかをチェックしましょう。

オフィスの照明は、明る過ぎても暗過ぎても困ります。オフィスでの作業というのは、パソコンを操作したり、文字を見たり、目に負担がかかるものです。快適な照明のもとで作業することで、効率が上がることは明らかでしょう。照明や空調は個人によって感じ方の差があるのでヒアリングや部門別アンケートをとって、あまりに差があるようであれば部屋ごとで管理できるオフィスを選ぶと良いでしょう。

オフィス移転の際に、蛍光灯からLED照明に変えるだけでも、省エネにつながります。照明が変わればオフィスの雰囲気も大きく変わりますから、おしゃれな照明に変えて社員のモチベーションや生産性をアップさせることも可能です。現オフィスの空調が快適でないこともあると思います。新オフィスの空調にどのような条件を求めるのかを整理しておきましょう。

⑤立地や駅までの距離

現オフィスの立地面で問題を感じていることもあるでしょう。オフィスのアクセスが悪ければ、社員の通勤にとっても不便です。お客さんが訪れる機会が多い場合、アクセス面は売上にも関係してくることがあります。取引先との関係でも、オフィスの立地面は重要です。

都市部でほとんどの社員が電車通勤という場合には、オフィスは駅近くが理想でしょう。地方で車通勤が多い場合や、オフィスに来客があまりない場合には、あまり場所にこだわらなくてもよいかもしれません。

現オフィスの立地面を見直すときには、オフィスのアクセス面をどれくらい重視するかを考えましょう。オフィス移転をするにも、移転可能な範囲があります。立地面の条件を整理すれば、新オフィスをどこにすべきかが見えてくるでしょう。

数値化すると問題点が分かりやすい

オフィス移転にあたって、現オフィスの現状を調査するときには、いろいろな要素を数値化して考えるのが有効です。オフィス移転を希望する場合、漠然と現オフィスは不便と感じていて、何がどう不便なのかが整理できていないことがあります。

現オフィスの課題を整理できていないと、新オフィスに求めるものがわからず、オフィス移転がスムーズに進みません。たとえば、面積や立地面などのそれぞれの項目について、今のオフィスは100点満点中何点かを考えてみましょう。

点数が低い項目ほど、課題があるということですから、優先的に解決策を考える必要があります。オフィスを移転するにしても、何から何まで理想のオフィスというのは、なかなか見つかりません。オフィス移転の際には、問題点を整理し、優先事項を確認することが必須です。

社員アンケートも有効

現オフィスの問題点は、社内の一部の人間だけでは把握できていないことがあります。たとえば、社長が「オフィスの広さは今のままで十分」と思っていても、社員のほとんどは「狭くて作業しにくい」と考えていることもあるでしょう。

社員が行っている業務もそれぞれ違いますから、感じていることは人それぞれです。オフィス移転の際には、社員アンケートを行って、社内から幅広い意見を募った方がよいでしょう。

このほかにも、各部署の代表者を集めて会議をし、問題点を指摘してもらうという方法もあります。けれど、現状調査のための会議にばかり時間をかけているわけにもいきません。

匿名の社員アンケートにすれば、言い出しにくい意見も聞くことができますから、それまで気付かなかった点にも気付くことがあります。選択項目だけでなく、いろいろな意見を自由に書いてもらえるアンケートを作成しましょう。

オフィス移転の際には、社員の意見を聞く機会を設け、誰もが快適に仕事ができる環境を用意することが不可欠です。

調査結果を移転オフィスの選定に反映

現オフィスの現状調査の際には、様々な問題点が出てくるでしょう。そもそも、現オフィスに満足していれば、オフィス移転を考えることもないはずです。オフィス移転をするなら、しっかりとしたメリットがなければなりません。

現状調査においては、問題と感じていることは、どんどんピックアップしてみましょう。社員の意見を幅広く聞くことで、認識していなかった問題点にも気付くはずです。そして、問題点として挙げられたことを新しいオフィスの選定に反映させましょう。

なお、オフィス移転によって、すべての問題を解決できるわけではありません。オフィス移転にかけられる予算もあるはずです。タイミングよく条件どおりの物件が見つかるとも限りません。

オフィス移転の際には、問題点として挙げられた中から優先事項を確認する必要があります。オフィス移転計画において、積極的に問題解決する意識を持てば、オフィス移転のメリットを大きくすることができるでしょう。

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