オフィスの原状回復の費用・スケジュール

オフィスの移転先が決まり、今のオフィスを退去する際には借りた時の状態に戻す「原状回復」という工事が必要になります。ほとんどの場合、賃貸契約を行う際に契約書に明記されています。
原状回復の費用や注意点を見ていきましょう。

原状回復とは?

オフィス賃貸における現状回復とは、賃貸契約によるオフィスの貸し出しがなかった場合に、本来存在したであろう状態に戻すことを意味します。なので、日焼けやサビなど経年劣化と呼ばれる普通の生活をしていたとしても傷んでしまう部分は対象外になります。
オフィス賃貸契約では原状回復義務が発生するので、原状回復を行わなかった場合は損害賠償の対象となります。

原状回復ついて勘違いをしている方が多いのは、
「完璧に新しい状態に戻す必要はない!」
ということです。

原状回復の費用を抑えるために重要なのが経年劣化と通常損耗についてです。

経年劣化

壁や床などは日光による日焼けや湿気によるダメージなど、使用していなかったとしても年月が経つにつれて自然に傷みが発生し物としての価値が減少します。これらの自然に起こりうる劣化を経年劣化と言います。

通常損耗

例えばオフィスを使用する際にローラー付きのオフィスチェアーを使用すれば床にローラーの跡がつきます。これらの汚れは故意にできた汚れではなく普通にオフィスを使用していれば発生しうる汚れです。このように故意ではなく一般的に使用している過程で発生する汚れや傷を通常損耗と言います。

経年劣化と通常損耗は原状回復の必要がない

経年劣化に関して賃貸のマンションやアパートに住んでいる方はご存知かもしれませんが、そもそも原状回復の義務がありません。通常損耗に関しても故意や過失のない通常損耗は貸主の負担になりますので、原状回復の必要はありません。

このように内装工事などを行っていない場合、原状回復が必要になるのは経年劣化や通常損耗を除き、故意や過失で傷や汚れを作ってしまった箇所だけになります。

どこまでが経年劣化・通常損耗にふくまれるのか?

原状回復の業者に見積もりを頼むと、汚れや傷の部分的な修繕ではなく全面改装を行うことがあります。
どこまでが経年劣化や通常損耗に含まれるのかをポイントごとに見ていきましょう。

先述したように日光による日焼けは経年劣化に含まれます。飲み物などが飛び跳ねてできた汚れなどは過失になるのでその部分を修繕する必要があります。問題となりやすのはタバコによるヤニ汚れですが、タバコを吸う行為は生活するうえで誰もが必要とする行為ではないのですべて借主負担になります。

カーペット・クロス

カーペットやクロスに関してはハッキリとした汚れが付くケースが多く、通常消耗であるかの判断が難しいので基本的には借主負担で原状回復の必要があります。タイルカーペットの場合は汚れているタイルの枚数分を原状回復費として支払います。

OAフロア

OAフロアを使用している場合は床に設置されたユニットをすべて撤去する必要があります。原状回復の際は、配線等もすべて撤去するのでPCやネット環境が使えなくなります。OAフロアの撤去作業は通常業務に支障がでないように、スケジュールの最後に行うと良いでしょう。

賃貸借契約書の内容が前提

これまで原状回復の義務について説明してきましたが、基本的には住宅の賃貸契約と同じです。
しかし、オフィス賃貸の場合、法人間の契約なので両社の利益を優先する契約自由の原則から、
賃貸契約書の内容が重視されます。

特約事項で「経年劣化・通常損耗に関しても修繕費として借主が負担する」と明記されてあれば借主が負担する必要があります。

原状回復の相場・費用

先述したように「経年劣化・通常消耗」の修繕費用を負担するかどうかで費用はだいぶ差があります。
また、オフィスの規模や時期によっても作業にかかる人件費も変わってきますので、
一概には言えませんが、

  • 小・中規模オフィス(20坪~100坪) 1坪あたり20,000~50,000円
  • 大規模オフィス(100坪以上~) 1坪あたり50,000~100,000円

あくまで目安なので参考程度に考えてください。

トラブルになるケースも

原状回復の費用は近年高騰しています。これは、単に業者不足が原因ではなく賃貸契約を結ぶ際に「原状回復工事はオーナー指定の業者に依頼」という一文が明記されていることにより、業者の比較やコンペができないからです。
相場に比べて高い場合はトラブルになるケースもありますが、不当な値段を提示されていない場合は、契約を結んでいる以上は指定業者を使用する必要があります。

原状回復費用は敷金から支払われる

新オフィスとの契約費用や引っ越し費用・内装費などに原状回復費用を加えると、かなり費用は跳ね上がります。
契約終了とともに原状回復をしないで撤収されることがないように、原状回復費は契約時に支払う敷金から引かれるのが一般的です。オフィス賃貸の敷金は月賃料12か月分が相場なので、余った分は借主に返済されます。

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