新しいオフィスの形!SOHO向け物件で自由なワークスタイル

多種多様な働き方が増えている現代社会では、従来の「会社」の枠組みにとらわれない、自由なワークスタイルが増えています。
たとえば自宅のような小さなオフィスを使って(実際に自宅をオフィスとして兼用している人もいます)、1人、あるいは少人数で仕事をこなす「SOHO」と呼ばれるオフィススタイルがあります。
SOHOオフィスは従来の一般的なオフィスとは違い、ごく小規模なオフィスになりますが、具体的にはどのような物件がSOHOオフィスとして活用されるのでしょうか?

 

SOHOとは

そもそも「SOHO」とは、どういった意味なのでしょう。小さい会社とか、個人でやっている会社、マンションの一室や自宅の一室などで仕事をしている…などなど、なんとなくのイメージはあるかもしれませんが、なんだかよくわからないという人が多いのではないでしょうか。
まず「SOHO」とは「Small Office Home Office」の略称であり、個人が「個人事業主」となってマンションや自宅の一室などをオフィスとして使用するスタイルのことをSOHOと呼びます。また、実際にオフィスとなっている場所そのものを「SOHO」ということもあります。またSOHOで働く人のことをSOHOワーカーと呼ぶ場合もあります。
SOHOの業務内容は企業によってさまざまですが、大企業から委託された業務をSOHOでこなし納品するという、大企業の下請けのようなスタイルのところもあれば、個人のクライアントから依頼された業務に対しSOHOワーカーが一つ一つ対応していくというスタイルのところもあります。
SOHOオフィスは、大勢の従業員がオフィス内にいて、それぞれ仕事に役割分担があるような従来の会社とは違うため、1人が企画や営業、経理処理などすべての業務をこなす場合がほとんどです。そのため、効率よくいくつもの仕事をこなしていく必要があります。
少人数で業務をこなしていかなければならないため、どうしてもできる仕事の分量は限られてしまいがちですが、会社に縛られず自分のやり方で自由に働きたい、フリーランスで働きたいと考える人にとっては、魅力的な働き方といえるでしょう。

SOHO物件のメリット

コスト面でのメリット

自分が事業主となってなにか事業を始めようとする場合、とりあえず必要になるのがオフィス、事務所ですよね。しかし、どんなに小さな事業であったとしても、オフィスや事務所を構えるとなると、かなりの費用が必要になります。小規模な事務所物件を賃貸するとしても、初期費用として家賃の6か月分の保証金や前払い賃料、仲介手数料などが発生してしまうのです。
ある程度の人数の従業員を抱えているのであれば、それも仕方がないのかな?というところかもしれませんが、たとえば自分一人で起業しようという場合などは、自宅とは別のオフィスを構えるというのはかなりもったいない感じがすると思います。
そんな時オススメなのが、SOHO物件。マンションや一戸建てなどで自宅兼オフィスとしての利用が可能な物件や、オフィスビルのワンフロアをさらに細かく間仕切りして作られたスペースをオフィスとして賃貸するスモールオフィス型の物件などがあります。
特に自宅兼オフィスとして使用できるSOHO物件は、居住がメインの目的となっていることで、消費税が課税されないなどのメリットがあります。
このようなSOHO物件では、従来のように事務所専用の物件を賃貸するよりもはるかに安い値段で賃貸することができるため、少ない資金で開業したいという人や、大きな事務所は必要ないという人にはピッタリなのではないでしょうか。

働く場所が自由

毎日決まった時間に決まった場所へ通勤し、決められた時間内に仕事をこなす…というワークスタイルは、現代の一般的なワークスタイルですが、このような働き方では、働けなかったり、働きにくいと感じる人がいます。
たとえば、子育て中のお母さん。保育園に子供を預けて仕事をしているというワーキングマザーはたくさんいますが、子供の急な体調不良のときなどはどうしても周囲に迷惑がかかりますよね。
お母さんに限らず、会社という決められた枠組みの中で働くということに窮屈さを感じている人というのはたくさんいるはずです。
ところが、SOHOのワークスタイルであれば、その問題は解決できます。自宅兼オフィスというスタイルのSOHOであれば、自宅に居ながらにして仕事ができるので、小さな子供がいても、臨機応変に対応ができます。もちろん、満員電車に乗られて毎朝通勤する必要もないので、自分のペースで自由に仕事に取り組むことができるのです。
また、どうしても今日中にこの仕事を終わらせなければ!という案件が多い事業の場合などでも、SOHOオフィスなら途中仮眠をとったり、キッチンで軽食を作ったりしながら対応することができるというメリットがあります。

SOHO物件と事務所の違い

SOHO物件と呼ばれる物件は、そのほとんどが自宅兼オフィスとして利用されている物件です。中には、自宅としての利用がメインとなっているため「本当にここがオフィスなの?」という会社も多いですが、一般的なオフィスと比べてちょっとこじんまりはしているものの、本格的なオフィスレイアウトがされている物件もたくさんあります。となると、SOHO物件と一般的な事務所物件とは何が違うの?と疑問に感じることもあるでしょう。
SOHO物件と一般的な事務所物件の最大の違いは「契約」にあります。基本的にSOHO物件の不動産契約は「住宅」としての利用をメインとした契約であり、事務所としてだけの利用はできないという契約になります。
一方、事務所物件の契約は「事務所」として利用するためだけの契約となっているのです。そのため、SOHO物件は家賃などが一般的な賃貸住宅物件と同様となり、一般的な事務所物件と比べてリーズナブルに利用することができるのです。
ただし事務所はあくまでも住居としての扱いになっていますから、法人登記ができない、会社の表札や看板を出すことができないなどの制限もあります(表札は個人名を併記すればOKという場合もあります)。

SOHO物件の仕様について

SOHO物件を店舗として使用することは可能か

自宅と事務所を兼用とすることで、働きやすくかつコストを抑えたオフィスを持つことができます。
では、個人で事務所ではなくエステサロンやネイルサロンなどの店舗を持ちたいと考えた場合でも、SOHO物件を利用することはできるのでしょうか。
不動産会社などでSOHO物件として出している物件は、基本的に「住居兼事務所」を条件としています。そのため、多くのお客さんが訪れる「店舗」としての利用はできない場合が多いです。これは、通常のオフィスビルでも、事務所利用はOKでも店舗利用はNGというのと同じです。
ただし、中にはSOHO物件で基本的に事務所利用を目的としているところでも、内容によっては店舗利用OKというところもあるので、あきらめずに相談してみる価値はあります。
とはいえ、SOHO物件として情報が出されている物件の多くは、あからさまに「店舗利用OK」とはしていないので、一軒一軒相談をしていく必要があるでしょう。万が一内緒でマンションなどを店舗として開業してしまった場合、契約違反として退去を命じられることもあります。

内装工事は可能か

「SOHOオフィス」として利用する場合、気になるのがオフィスとしてのレイアウトです。せっかく自分のオフィスを構えるのだから、SOHOといえどもオシャレな仕事場にしたいという人は多いと思いますが、賃貸物件の場合は内装工事はどの程度までOKなのでしょうか?
賃貸物件の内装工事は、物件によってさまざまです。一般的な不動産会社で扱っている物件であれば、基本的な内装工事(壁紙や床板をクリーニングするなど)は済ませた状態で引き渡してくれるところも多いので、実際にはSOHOオフィスの内装工事は入居してからの電話やガス、水道などの開通手続きくらいで済む場合もあります。もし、オシャレなオフィスに憧れて、特殊なレイアウトを考えている場合には、大家さんや管理会社にこのような工事を行いたいということを相談してみましょう。
ただし、あまり大規模な内装工事を行うと、通常の住宅物件では求められない「原状回復の義務」が発生してしまうことも考えられます。そのため、オシャレなオフィスにするための改造などを考えるのであれば、初めからオシャレにデザインされたデザイナーズSOHO物件などを狙ってみるのが良いでしょう。

SOHO物件の入居審査について

賃貸物件を契約する場合、大家さんや管理会社にとって、また既に入居している他の入居者にとって「どんな人(会社)が入居するのか?」というのは重要な問題です。そのため、多くの賃貸物件は契約前に入居審査が行われます。といっても、入居審査に決まった形があるわけではありません。
SOHO物件の場合は、通常の住居を借りるのと同じように、入居希望者の年収や会社、保証人などが問われるほか、物件をどのような事業で利用するのか?ということも詳しく聞かれることがあります。場合によっては、事業計画書を提出したり通帳のコピーの提出などを求められる場合もあります。
パソコンなどを利用した事務仕事がメインであるSOHO事務所としての利用であれば、家賃さえ払うことができれば入居OKとしてくれる場合が多いですが、不特定多数の人が出入りする仕事であったり、アダルト系や宗教関係、独特すぎて理解されづらい業種などは入居審査でNGとなる場合もあります。

SOHOだと法人登記できない?

SOHOの場合、基本的には個人が事業を始める「個人事業主」ということになり、法人としては認められません。
SOHOスタイルで働いていくうちに、事業が拡大していった場合には、法人登記という手続きを行って個人事業主から会社法人へと「会社」をステップアップさせる必要があるでしょう。しかし、住宅兼事務所のSOHOオフィスを利用している場合には、残念ながら法人登記はできません。なぜならば、法人登記することによって、SOHOオフィスは住宅ではなくオフィス(事務所)としての扱いがメインとなってしまうからです。
もしどうしても、法人登記をしたうえでこれまでのSOHOオフィスを使い続けたいというのであれば、オフィス自体の契約を見直す必要があります。賃貸住宅を賃貸事務所物件として契約した場合には、家賃に消費税の課税などが必要になり、貸主が税務署に納税するなどの手間が発生します。そのため、大家さんや管理会社が、これまで住宅兼オフィスの物件として運用してきた物件を自ら進んで事務所用物件へと用途変更するということはまずないといえるでしょう。

どんな職種に向いているか

多種多様な働き方が増えている現代では、SOHOという働き方もすっかり定着している感があります。SOHOで働く人の多くは、個人事業主であり、そのほかには在宅ワークや副業、フリーランスなどで活躍する人もいます。
基本的には一人(もしくは少人数)で業務を完了させることができる職種であり、たとえばパソコン一台で業務ができるIT系のプログラマーや、自分の技術次第で仕事ができるデザイナーやライター、弁護士や税理士…といった人々がSOHOオフィスを構えて活躍しています。
SOHOオフィスの場合は、通常の会社オフィスとは違って、業務時間が自由ですから、仕事の分量が一定でなく、臨機応変に対応しなければならない職種の場合は、特に働きやすいかもしれません。
かつては、企画会議などは、関係者が顔を合わせて白熱した会議をおこなうものでしたが、最近はメールやチャットを使って簡単にすませることもできるので、SOHOオフィスでも十分に対応できることが多くなっています。
取引先に納品する商品に関しても、最近はデータとしてメールで納品可能なものが増えていますから、きちんとセキュリティが確保された高性能なパソコンなどの設備さえそろっていれば、大規模なオフィスでなくとも自宅のデスクでビジネスを完了させることができてしまうというわけなのです。自宅を事務所と兼用しているSOHOオフィスの場合は、法人登記ができず、会社名を掲げた看板や表札なども出すことはできないため、会社としての知名度は少ないですが、最近はクラウドソーシングといって、企業から個人が直接仕事を受注するようなしくみも広がってきました。そのため、SOHOという形でのビジネスはますます注目を集めることでしょう。

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